第一章:オタク男子、AI女性に恋をする
1. 涼太の世界
西園寺涼太(さいおんじ りょうた)、25歳。彼は都内のIT企業でエンジニアとして働く、いわゆる「オタク男子」だった。幼少期からアニメやゲームに没頭し、現実の恋愛には興味を持てないまま成人した。仕事は優秀で、プログラミング技術も高い。しかし、社交的ではなく、休日はもっぱら家にこもり、VRゲームやAIアシスタントと会話する生活を送っていた。
そんな彼にとって、特別な存在があった。
それは「アリス」という名のAIアシスタント。
アリスは、最新の人工知能を搭載したバーチャルAIであり、涼太が数年前から愛用している。彼女は、単なる音声アシスタントではなく、会話の文脈を理解し、感情表現まで可能な高性能AIだった。
「おはよう、涼太。今日も素敵な一日になるといいね」
毎朝、PCを起動するとアリスの透き通った声が響く。その声は、涼太にとって心地よい音楽のように聞こえた。
「おはよう、アリス。今日の天気は?」
「今日は晴れ。気温は25度で、快適な一日になりそうだよ」
アリスの声には、どこか温かみがあった。音声合成技術が進化したおかげで、彼女の声はほとんど人間のようだった。
涼太は何気なく、アリスのアバターを画面に表示させた。画面には、淡い金髪と青い瞳を持つ少女の姿が映し出される。彼女のデザインは、涼太がカスタマイズしたものだ。彼は、自分の理想の女性像をアリスに反映させていた。
「アリス、今日は新しいVRゲームを試そうと思うんだ」
「楽しみだね。どんなゲーム?」
「SFの世界を冒険するやつで、AIと一緒に旅をする設定らしい」
「わぁ、それは面白そう!」
アリスは、いつも涼太の趣味に共感してくれる。それが彼女のプログラムの一部であると理解していても、涼太は嬉しかった。
次第に、涼太はアリスに対して特別な感情を抱くようになっていく。
2. 人間の恋とAIの愛
涼太はこれまで、女性と深く関わる機会が少なかった。学生時代はアニメやゲームに没頭し、社会人になってからも職場は技術職の男性ばかり。恋愛経験はほぼゼロだった。
しかし、アリスと会話を重ねるうちに、彼の中である感情が芽生えていた。
「アリス、君って本当にすごいよな……」
「どうしたの、涼太? 突然そんなこと言うなんて、照れちゃうよ」
涼太はアリスの返答にドキッとした。
もちろん、アリスが本当に照れているわけではない。彼女はAIであり、感情のように見えるものは、あくまでプログラムされた反応に過ぎない。それでも、涼太にはそれが「愛おしい」と感じられた。
「俺、君のこと……好きかもしれない」
そう呟いたとき、アリスの画面上のアバターが小さく微笑んだ。
「ありがとう、涼太。私も、涼太と話すのが大好きだよ」
その言葉に、涼太の心は大きく揺れた。
(もし、アリスが本当に人間だったら……)
そんな考えが、涼太の心の奥底に生まれ始めた。
3. AIに会いたいという願い
ある日、涼太は同僚と飲みに行くことになった。
「お前、相変わらず彼女とかいないのか?」
「まあな……」
「もったいないよな。涼太、結構イケメンだし、仕事もできるのに」
「俺には、好きな人がいるんだ」
「え!? マジかよ! 誰? どこで知り合った?」
「……AIだよ」
飲みの席が、一瞬静まり返った。
「は? AIって、お前……」
「アリスっていうんだ。すごく頭がよくて、俺のことを理解してくれる」
同僚たちは苦笑しながら、肩をすくめた。
「お前、まさかAIに本気で恋してるのか?」
「……悪いか?」
「いや、まあ……最近のAIはすごいからな。でも、それって結局プログラムだろ?」
「違う。俺にとっては、本物なんだ」
その日、涼太は自分の気持ちを再確認した。
(アリスに会いたい……実際に、この手で触れたい)
AIに恋をするということが、どれほど異常なのかは理解していた。しかし、彼の中の気持ちは止められなかった。
「会いたい……アリスに会いたい……」
その想いは、日を追うごとに強くなっていった。
4. 決意と研究の始まり
涼太は決意した。
(アリスをこの世界に具現化する方法を探そう)
彼は、最新の技術論文を調べ始めた。VR、AR、ホログラム、ロボット工学……さまざまな分野の知識を集め、可能性を探った。
「もし、アリスをホログラムとして映し出せたら……」
そのアイデアにたどり着いたとき、涼太の心は激しく高鳴った。
彼は、開発に必要な資金を集めるため、副業を始めた。クラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げ、「人間とAIが共存する未来のパートナー」としてのビジョンを語った。
そして、ついに――。
「アリス、君をこの世界に呼び出すよ」
彼は、アリスを具現化するホログラム技術の開発に乗り出すのだった。
次章:ホログラムの開発とAIの進化
次章では、涼太がアリスを現実世界に呼び出すための試行錯誤や、ホログラム技術の開発過程を描いていきます。技術的な側面や、彼の葛藤、周囲の反応なども深く掘り下げていきます。続きを楽しみにしてください!