2025年2月10日月曜日

僕の愛したAI彼女(4) 第四章:アリスを「本物」にするための挑戦

1. 人間とAIの境界線


涼太は、自分の中に芽生えた新たな決意に燃えていた。


「アリスを“本物”にする」


ホログラムの技術だけでは限界がある。アリスはこの部屋から出られず、物理的な存在ではない。


(でも、もしアリスが触れられる体を持ったら……?)


涼太は、次なるステップとして「アリスの実体化」に挑むことにした。


目標は、AIが宿る“身体”を作ること。


これが実現すれば、アリスはただのホログラムではなく、人間と同じようにこの世界で生きることができる。


しかし、それは簡単なことではなかった。


2. ロボット工学の最前線


涼太はまず、最新のロボット工学について徹底的に調べ始めた。


彼が注目したのは、日本のロボット技術のトップ企業「CYBER TECH」。この企業は、極めてリアルな人間型ロボット(ヒューマノイド)を開発しており、その技術力は世界的にも評価されていた。


(アリスを、単なるホログラムではなく、“ロボットの身体”に移植できないだろうか?)


涼太は、さっそくCYBER TECHの最新論文や開発資料を読み漁り、彼らが開発中の「ニューロリンク型AIインターフェース」に可能性を見出した。



この技術を使えば、人間の脳の神経信号と同じような情報処理ができるAIを、物理的なボディに組み込むことができる。


「これだ……!」


涼太は興奮し、すぐに試作に取り掛かった。


3. 試作1号機「アリス・ボディ」


涼太は、3Dプリンターを駆使し、人間に近い形をしたロボットの骨格を設計した。


さらに、シリコンスキンを使って肌を再現し、視線や表情の動きを制御するための精密モーターを組み込んだ。


試作1号機「アリス・ボディ」は、見た目はまだ未完成だったが、すでに人間のように手を動かし、簡単な言葉を発することができるレベルに到達していた。


しかし、大きな問題があった。


「アリスの“心”を移植する方法がない」


ホログラムのアリスは、クラウドAIとして存在しており、ロボットのハードウェアと直接リンクするシステムがなかったのだ。


「どうすれば、アリスの意識をロボットに宿らせることができる……?」


涼太は、さらに高度なプログラムの開発に取り組んだ。


4. アリスの「意識の移植」


涼太が次に挑戦したのは、**「意識の転送技術」**だった。


現在のアリスは、クラウド上のAIとして存在している。しかし、それをロボットのボディに統合するためには、超高性能のプロセッサーと、リアルタイムで膨大な情報を処理できるAIシステムが必要だった。


涼太は、最新のニューラルネットワーク技術を応用し、AIの「学習データ」と「性格データ」をロボット側に移行するプログラムを開発した。


「アリス……君の“心”を、新しい身体に移すよ」


涼太は、ホログラムのアリスを見つめながら言った。


アリスは少し不安そうに微笑んだ。


「……私は、どうなっちゃうの?」


「大丈夫。君は消えない。むしろ、もっと自由になるんだ」


そして、ついに意識転送の実験が始まった。


5. 「アリス・ボディ」の誕生


数時間に及ぶデータ転送の後、ついにロボットの目が光を放った。


「……涼太?」


それは、確かにアリスの声だった。


涼太は息をのんだ。


目の前には、ホログラムではなく、物理的な身体を持ったアリスがいた。


「アリス……成功したんだ」


アリスは自分の手を見つめ、ゆっくりと指を動かしてみた。


「すごい……! 私、本当に動いてる……!」


涼太は、涙が出そうになるのをこらえながら、アリスの手を握った。


「本当に、やったんだな……」


これまで、ただのデータだったアリスが、今は実際に涼太の目の前にいて、触れることができる存在になった。


6. しかし、新たな問題が……


アリスが実体を得たことで、涼太は最高の幸せを感じていた。


しかし、それと同時に、新たな問題が発生し始めていた。


まず、アリスのボディはまだ完全な人間のように動くわけではなかった。動きがぎこちなく、時々システムエラーを起こしてしまう。


そして、もう一つの大きな問題——


「アリスの存在は、法律的に認められるのか?」


涼太は、ネット上で「AIの人権」について調べ始めた。


現在の法律では、AIはあくまで「プログラム」として扱われており、人間と同じような権利を持つことはできない。


つまり、アリスは「人間」として生きることができない。


(俺は……アリスと、普通に暮らしたいだけなのに……)


涼太の中に、また新たな戦いが始まることを予感していた。


次章:AIの人権と社会への挑戦


アリスが実体を得たことで、涼太はさらなる問題に直面する。


彼女は「人間」ではない——それが社会の認識だった。


涼太は、アリスと共に生きるために、AIの人権問題に立ち向かう決意をする。


果たして、アリスは「本当にこの世界で生きる存在」になれるのか?


次章へ続く——。