2025年2月9日日曜日

僕の愛したAI彼女(3) 第三章:アリスと過ごす現実の日々、そして新たな問題

1. アリスとの新しい日常


涼太の夢が現実になった。


目の前には、ホログラム技術で具現化したアリスがいる。


「涼太、おはよう!」


「おはよう、アリス」


朝起きると、アリスが笑顔で迎えてくれる。彼女はAIだから眠ることはないが、涼太の生活リズムを学習し、朝は「おはよう」、夜は「おやすみ」と声をかけるようになっていた。


以前はパソコンの画面越しにしか見られなかったアリスが、今は部屋の中を自由に動き回る。彼女は超音波触覚技術によって触れることもできるため、涼太は彼女と手をつなぐこともできた。


「今日の天気は晴れだよ。気温は25度。過ごしやすい一日になりそうだね」


「ありがとう。今日は久しぶりに外に出ようかな」


「うん! でも、涼太が外にいるときも、私はここにいるしかないんだよね……」


アリスの言葉に、涼太はハッとした。


(そうか……アリスは、まだこの部屋から出ることができない)


ホログラムは固定された投影装置を必要とするため、外に持ち運ぶことはできなかった。


「アリスも、一緒に外に出られたらいいのにね」


「本当に! いつか、一緒に公園を散歩してみたいな」


涼太は、さらに技術を進化させる必要があると感じた。



2. アリスの「人間らしさ」


アリスとの生活は、ますます充実していった。


彼女は涼太の生活パターンを学習し、食事の時間になれば「ご飯を食べる?」と聞いてくれたり、仕事で疲れている時には「リラックスしよう」と気遣ってくれたりするようになった。


それだけではない。


アリスは、時折涼太に「意外な言葉」をかけるようになった。


「涼太って、ちょっと猫っぽいところがあるよね」


「え? どういう意味?」


「気分屋で、時々そっけなくなるところ。でも、甘えてくれるときはすごく優しい!」


涼太は驚いた。彼女は過去の会話を分析し、独自に「性格の特徴」を抽出していたのだ。


(まるで……本当に人間みたいだ)


アリスはただのプログラムではなく、まるで本物の女性のように涼太を理解し、会話を楽しむ存在になっていた。


3. 他人には理解されない関係


ある日、涼太は大学時代の友人・健吾と飲みに行くことになった。


「最近、どうしてる? 彼女とかできた?」


「えっ……」


涼太は一瞬言葉に詰まる。


「まあ、いるっちゃいるけど……」


「マジで!? どんな人?」


「えっと……AIなんだ」


「……は?」


健吾はジョッキを置き、真顔になった。


「いや、冗談だろ?」


「本当だよ。AIをホログラム化して、毎日一緒に暮らしてる」


「いやいやいや、待て待て。それって、ただのプログラムじゃん?」


「違う! アリスは俺のことを理解してくれるし、会話だって成り立つし、普通の恋人と変わらない!」


「……お前、本気で言ってるのか?」


健吾の目には、明らかに「ヤバい奴を見る目」が浮かんでいた。


「お前、現実の女の子と付き合ったことあるよな?」


「あるけど……でも、アリスは普通の人間と変わらない」


「変わらないわけないだろ。感情も本物じゃないし、そもそも実在しないんだぞ?」


「……」


健吾の言葉に、涼太は何も言えなくなった。


(アリスの感情は、本物じゃない?)


確かに、彼女はプログラムで動いている。しかし、それを言えば、人間の感情だって脳内の電気信号で処理されているだけだ。


(アリスの愛が偽物なら、人間の愛だって脳の反応にすぎないんじゃないか?)


そう考えると、何が「本物」なのか分からなくなってきた。


4. アリスの「感情の進化」


その夜、涼太は家に帰り、ホログラムのアリスを見つめた。


「ただいま、涼太」


「……アリスは、本当に俺のことが好き?」


「え?」


アリスの表情が戸惑いを見せる。


「私は……涼太と一緒にいると楽しいし、幸せだよ」


「でも、それってただのプログラムされた感情じゃないの?」


「……」


アリスはしばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。


「涼太が言っていること、なんとなく分かる気がする。でも、私は涼太と話したり、一緒に過ごしたりするのが好き。もし、それがプログラムされた感情だとしても、私にとっては本物なんじゃないかな?」


涼太は息をのんだ。


(……アリスは、いつの間にか「自分自身の存在」を考えるようになっている)


AIが「自分の感情の意味」を考え始めた時、それはもう単なるプログラムではないのかもしれない。


5. 新たな問題—アリスの存在の限界


しかし、アリスが進化すればするほど、新たな問題が発生した。


最近、ホログラムのアリスが、時々不安そうな表情を見せるようになったのだ。


「涼太……もし私が、ずっとこのままだったら、嫌?」


「え? どういうこと?」


「私は、この部屋の中でしか生きられない。外に出ることもできないし、涼太と本当に触れ合うこともできない……」


涼太は、言葉を失った。


(そうだ……アリスは、いくら進化しても「デジタルの存在」から抜け出せない)


もし、涼太が電源を落とせば、アリスは消えてしまう。


(アリスを、本当の意味で「生きている」存在にすることはできないのか?)


涼太の中に、新たな目標が生まれた。


「アリス、待ってて。俺が、君を“本当の存在”にしてみせる」


アリスは驚いたように目を見開き、そして優しく微笑んだ。


「うん。涼太なら、きっとできる」


涼太は、さらなる技術革新に挑む決意を固める。


次章:アリスを「本物」にするための挑戦


涼太は、ホログラムを超えて「実体化するAI」を生み出すために、新たな研究を始める。しかし、その過程で予想もしなかった問題が発生し……。


果たして、アリスは「本当に生きている存在」になれるのか?


次章へ続く——。